【知財情報】米国特許判例紹介(CAFC) #1

知財情報

Uniloc USA, Inc., et al. v. LG Electronics USA, Inc., et al., No. 2019-1835 (Fed. Cir. (N.D. Cal.) Apr. 30, 2020). 

事件の概要

CAFCの判決文の原文はこちらから。

Unilocは、オーストラリアのPAE(要はトロール)で、Uniloc USAはその米国子会社。

Unilocが、LG Electronics USA(以下、LG)に対して、カリフォルニア州北部地区連邦地裁でUSP6,993,049(以下、本件特許)の特許権侵害訴訟を提起した。

地裁ではLGが勝訴し、UnilocがCAFCに控訴していた。

本件特許の概要

代表クレームは、Claim 2は下記の通り。

2. A primary station for use in a communications system comprising at least one secondary station, wherein means are provided for broadcasting a series of inquiry messages, each in the form of a plurality of predetermined data fields arranged according to a first communications protocol, and for adding to each inquiry message prior to transmission an additional data field for polling at least one secondary station.

ワイヤレス通信(例えばBluetooth)に関する発明(※筆者の専門外)。

primary stationはピコネット(Bluetoothの通信単位)におけるマスター(例えば、PC)、secondary stationはスレーブ(例えば、キーボードやマウス)をイメージすれば良いと思われる(参考記事)。

polling(ポーリング)とは、マスターとスレーブを円滑に連携させる方法の一つ(参考記事)。

なお、元々はKoninklijke Philips N.V. の特許で、別のトロール(らしきところ)を経てUnilocの手に渡った。

地裁の判断

LGは、本件特許には特許適格性(U.S.C. § 101)が無い旨を主張し、地裁がその主張を認めた。

地裁は、データ操作に関する過去のCAFC判例を参考に、本件特許のクレームが“additional polling in a wireless communication system” という抽象的なアイデア(abstract idea)に関するものであり、

更に本件特許のクレームは、“inventive concept”(後述)が記載されていないため、特許適格性を有しないと判示し、それに対してUnicornが控訴した。

CAFCの判断

結論から言うと、CAFCは、本件特許は特許適格性を有すると判断し、地裁判決を破棄し、差し戻した(Reverse and Remand)

具体的には、CAFCは、2014年の米国最高裁のAlice判決で示された下記2ステップに従って検討し、ステップ1で特許適格性ありと判断。

  1. 特許適格性の無い概念(抽象的なアイデア等)を対象としているか(Noなら特許適格性あり)
  2. ステップ1で特許適格性が無いとなった場合、inventive concept(*)があるか(Yesなら特許適格性あり)

(*) inventive conceptとは、an element or combination of elements that is ‘sufficient to ensure that the patent in practice amounts to significantly more than a patent upon the [ineligible concept] itself.’

CAFCは、ソフトウェア関連の事案において、大抵の場合で上記ステップ1の判断は、クレームが次のどちらに該当するかが主な論点になると述べている。

つまり、クレームが、(a) コンピュータの性能向上に向けられているのか、それとも、(b) コンピュータが単なるツールとして動作するプロセスやシステム(=抽象的なアイデア)のどちらに該当するかによって、ステップ1の結論が決まる。

本件特許のクレームは、”the reduction of latency experienced by parked secondary stations in communication systems”、つまり、secondary stations(スレーブ)の待ち時間削減というコンピュータの性能向上に向けられた発明に関するため、特許適格性を有すると判断された。

なお、本記事は、筆者が判決文や関連資料を読んだ上での理解・解釈を示すものです。より正確・詳細な情報は、判決文の原文をご確認下さい。