【スタートアップ向け知財情報】その商標権、正しく使わないと取り消されてしまうかも…

知財情報

はじめに

スタートアップにとって商標権は、特許権と同じくらい重要だと思います。

自社の社名や個別の製品・サービスの名称について、その社名や名称を前面に出してビジネスを進める場合、商標権は取得しておいた方が良いでしょう。

ただ、この商標権、「正しく」使わないと、取り消されてしまう可能性があるのはご存知でしょうか?

本記事を参考にしていただき、せっかく取得した商標権が取り消されることのないように気をつけていただければと思います。

そもそも商標権って?

本記事の前提知識として、商標権とはなんぞや、について少し触れておきたいと思います。

商標権の詳細については、分かりやすく解説されているサイトが他にもたくさんありますので、ここでは最低限のポイントだけに留めます。

商標と言えば、「会社名であれば”Sony”とか、製品名であれば”Play Station”でしょ?」と思われた方、

半分正解ですが、半分足りません。

“Sony”とか”Play Station”だけだと、あくまで標章(マーク)です。

これらの標章が、自分の商品や役務(サービス)に使用される場合に、ようやく「商標」となります(商標法第2条第1項)。

つまり、商標とは、標章(マーク)と商品・役務とのセットで考えないといけないのです。

そして、商標登録出願の際は、どの商品・役務とセットにするか指定します(これらの指定した商品・役務を「指定商品」「指定役務」と呼び、審査をクリアして登録された商標を「登録商標」と呼びます)。

指定商品・指定役務以外の商品・役務に登録商標を使用したとしても、それは登録商標の「正しい」使用にはならないのです。

本題

冒頭で、商標権を正しく使わないと、商標権が取り消されてしまう可能性があると述べました。

具体的には、現在も継続して3年間、日本国内で登録商標を使用していない指定商品・指定役務がある場合には、その使用していない指定商品・指定役務と登録商標とのセットに対して、第三者から取り消しを請求されることがあります(商標法第50条)。

もし仮に、ソニーが”Play Station”について、指定商品を「ゲーム機」及び「ジュース」として商標登録出願していたとしましょう。

そして、継続して3年間日本国内において”Play Station”を指定商品「ゲーム機」に使用しておらず、もう一つの指定商品「ジュース」にだけ”Play Station”を使用している場合には、誰でも”Play Station”と指定商品「ゲーム機」とのセットに対して、取り消しを請求することができます。

当然ですが、”Play Station”と指定商品「ジュース」とのセットには取り消しを請求することはできません。

また、「使用していない」ことを第三者が証明するのは困難なので、商標権者側に「使用している」ことの立証責任があります。

ちなみに、商標権者が何らかの理由で取り消しを請求されることを知った場合、取り消されないように駆け込み使用をしても、駆け込み使用であることが証明されてしまうと、取り消しは免れません。

また、指定商品・指定役務に対して使用していても、肝心の標章(マーク)が、出願書類に記載したものと微妙にでも異なっていると、この場合も「正しい使用」とはみなされない可能性もありますので、ご注意ください(弁理士さんによく確認して下さい)。

なお、アメリカでは、商標権を維持するために、米国特許商標庁に定期的に使用証拠(商標が付された商品の写真画像等)を提出する必要があります。

まとめ

以上のように、

①商標登録出願の際に指定したけど、3年以上も登録商標を使用していない商品や役務がある(しかし、将来的には使用したい)

②商標登録出願の書類に記載した標章(マーク)を少し改変した物を使っていて、その結果、3年以上も登録商標を指定商品・指定役務に使用していないに等しい状況に陥っていた

といった場合には、せっかく取得した商標権が取り消されてしまう可能性があります。

商標権が消滅すると、ビジネスがうまく行かなくなるリスクもありますので、今一度、自分の登録商標を「正しく」使用しているか確認していただければと思います。