【スタートアップ向け知財情報】特許ライセンス契約、基本の基本②

知財情報

はじめに

特許ライセンス契約の基本的な内容を解説するシリーズ2回目。

前回の記事は下記リンクからご覧ください。

今回のテーマ

  • Who:誰が自分の特許権(以下、単に特許)をライセンス(実施許諾)するのか?
  • Whom:誰に対してライセンスするのか?
  • What:どの特許をどの製品に対してライセンスするのか?
  • Where:どの地域でライセンスするのか?
  • When:ライセンスの期間(契約期間)は?
  • How:ライセンスの種類は(どのような許諾内容)?
  • How much:ライセンスの対価は?

今回は、What(製品)、Where、Whenについて解説します。

What(製品)

Whatの二つ目である「製品」について解説していきます。

許諾特許の範囲だけでなく、それらの許諾特許を何(どの製品・サービス)に使って良いかも定義する必要があります。

自社(相手方)の製品・サービスの全てが対象なのであれば単純ですが、自社の一部の製品・サービスが対象の場合は定義が重要になります。

特許の権利範囲と同様、文章で定義するため、対象外の製品・サービスが入らないように文言には注意しましょう。

ライセンスを受ける立場(ライセンシー)の場合、許諾製品をあまり限定的に書き過ぎると、将来の自社製品・サービスが(カバーされるべきだったのに)カバーできなかった、という事態にもなりますので、気を付けましょう。

Where

どの地域でライセンスするのか(特許発明を実施して良いのか)についてです。

まず前提知識として、特許権は国ごとに付与され、その国以外での実施行為(製造・販売等)には特許権の効力は及びません(属地主義の原則)。

従って、地域については、許諾特許が付与された国(特許権のある国)に指定しても不足は無いでしょう。

とはいえ、特許権者側(ライセンサー)に、相手方(ライセンシー)の実施行為(製造・販売等)を地域で制限したいという事情が無ければ、実務では全世界(=制限無し)にすることが多いのでは無いかと思います。

また、もし将来、新たに出願する特許も許諾特許に含まれる場合も、どこの国に出願されるかも分からないので、全世界にしておくのが無難かと思います(特に、ライセンスを受ける側=ライセンシーになる場合)。

When

ライセンス期間、つまり、いつからいつまでライセンスが有効かという点についてです。

まず始点は、契約発効日になります。

契約締結日と契約発効日、どう違うの?と疑問に思われる方もいるかもしれませんので、補足しておきます。

契約締結日とは、文字通り契約を締結した日で、全ての当事者の署名が完了した日です。

契約発効日とは、契約が有効になる(効力を発する)日で、基本的には契約締結日=契約発効日とすることが多いと思います。

しかし、中には契約が、例えば4月1日から有効になってくれないと困るんだけど、条件面で最終合意に至っておらず、締結日が4月2日以降にずれ込む場合もあるかと思います。

そういった場合に、締結日は例えば5月1日だけど、契約は4月1日から効力を発生させるために、締結日と発効日とで異なることがあります。

契約期間の終点は、契約期間を5年間とするならば、契約発効日から5年後となります(2020年4月1日からだと、終点は2025年3月31日)。

契約期間については、分野にもよるかもしれませんが、3〜5年間くらいにするのが一般的では無いかと思います。

あまりに短いと、すぐにまた更改(延長)のための交渉をしなくてはいけないため非効率です。

反対に長過ぎると、特許権者(ライセンサー)としては、お互いのビジネスの状況等を考慮して、もうライセンスを切って、相手方に実施させたくないと思うこともあるでしょう。

ライセンシーの立場であれば、例えば、特許力を急速に上げて、もはや対等くらいにまで力をつけたのに、契約に縛られて依然として高額なライセンス料を支払い続けなければいけない、ということもあるでしょう。

契約期間についても、上記を踏まえて、慎重に検討していただければと思います。

続き(How/How much)については、次回の記事で解説します。